冬の始まりを彩る7つの言葉―11月の異名に込められた日本の心-2-

冬の始まりを彩る7つの言葉 11月の異名に込められた 日本の心-2-
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11月の異名を知る季節の移ろい

日本の古来からの暦や文化には、毎月に美しい異名が与えられてきました。その中でも、11月の異名は、秋から冬への移り変わりを豊かに表現し、古くから人々が季節の変化を慈しんできたことを感じさせます。この記事では、「一陽来復」「辜月」「暢月」「子月」「風寒」「雪待月」「雪見月」といった11月の異名を取り上げ、それぞれの意味や由来についてご紹介します。普段の生活にも取り入れやすい、11月ならではの季節感をお楽しみください。

目次

一陽来復(いちようらいふく)— 冬の先にある光明

「一陽来復」は、陰陽思想に由来する言葉で、11月の異名としても使われます。「一陽」とは「一つの陽気」のことを指し、「来復」とは「再び来る」という意味です。つまり、一陽来復とは「陽の気が再び巡ってくること」を表し、厳しい冬の終わりに向けて、次の春を予感させる言葉です。

11月は暦上ではまだ冬の始まりですが、一陽来復の言葉に象徴されるように、冬の深まりの中にあっても、春の兆しや希望が既に少しずつ芽生えていると考えられています。これは、暗い状況から一転して希望の光が見えるような意味もあり、冬至を過ぎると昼が少しずつ長くなっていくことから、辛い時期を乗り越えて再び幸運が訪れることを願う意味も込められています。

この言葉は、新しい年の始まりや、新たな変化の予兆を感じる時期にも使われることがあり、現代でも日常の中で使われることが多い表現です。特に年末に向かって新年の準備を進める11月だからこそ、この異名がより一層意味を持つのかもしれません。

辜月(こげつ)— 寒さと厳しさの象徴

「辜月」という異名は、「辜」という字が持つ「罪」や「罰」といった意味合いから、11月の寒さや厳しさを象徴しています。11月は、秋から冬へと季節が変わる中で、日々の寒さが増していく時期です。これにより、自然の厳しさを感じる時期であることが「辜」という字に込められているのです。

また、11月は旧暦での年末にあたり、人々が一年の締めくくりとして振り返りや反省をすることから、「辜月」という言葉が用いられるようになったとも考えられています。寒さとともに、内省の季節でもある11月に、こうした厳しさを含んだ異名が使われることで、感謝や反省の気持ちが自然と湧き上がってくるのではないでしょうか。

現代の私たちにとっても、11月は、季節の変わり目として体調や生活の変化を意識しながら過ごす大切な時期です。辜月という言葉が教えてくれるのは、自然の厳しさに対して慎重に向き合い、日々の生活を丁寧に見直す姿勢かもしれません。

暢月(ちょうげつ)— ゆるやかな月

「暢月」とは「のびやかである」「穏やかである」という意味で、11月の季節の変化が落ち着いてきたことを表す言葉です。秋の実りを存分に味わい、紅葉も最後の美しさを見せるこの時期に、人々の心もゆるやかで穏やかになることから、この異名がつけられました。

冬の準備をしつつも、まだ年の終わりに向けて時間があり、のんびりとした気持ちで過ごせる時期であることを象徴しています。古くから、日本人はこの11月を楽しみの時期として過ごし、紅葉狩りや月見などの行事を楽しみました。暢月という言葉には、年末に向けて少しゆとりを持って過ごすことの大切さが込められているのかもしれません。

このように、暢月という言葉を日々の生活に取り入れることで、11月のゆったりとした時間の流れを感じながら、心を落ち着けて過ごすことができるでしょう。

子月(ねづき)— 十二支の「子」にちなむ月

「子月」とは、十二支の「子(ね)」にちなむ異名です。十二支は、古来より暦や方角、時刻などと関連付けられてきましたが、11月は「子」の月にあたります。「子」は十二支の始まりを意味することからも、11月は新しい一年の幕開けに向けた準備の時期として捉えられていました。

また、「子」は陰陽五行思想において「水」に属し、生命の芽生えを象徴しています。冬の中であっても、来年の春に向けた生命の準備が始まるという意味が込められており、自然のサイクルを意識させる異名です。現代でも、11月から翌年に向けた計画や準備を始める人も多いでしょう。子月という言葉は、こうした未来への希望や計画性を促してくれる、意味深い異名と言えるでしょう。

風寒(ふうかん)— 寒風が吹き始める季節

「風寒」という異名は、その名の通り、冷たい風が吹き始める11月の気候を表しています。秋から冬への季節の移り変わりとともに、寒さが厳しさを増し、風も冷たさを帯びてくる時期です。この風寒という言葉には、自然の厳しさとともに、冬に備える人々の心構えが込められています。

風寒は、厳しい自然環境の中で、体を温めることや体調管理の重要性を思い出させてくれます。また、冷え込む風の中で人々が寄り添い合い、温かさを共有するような季節感も表しています。日常生活でも、風寒を意識して寒さ対策をしながら冬を迎える準備を整えていきたいものです。

雪待月(ゆきまちづき)— 雪を待つ期待の月

「雪待月」という異名は、11月が雪の訪れを待ち望む月であることを示しています。特に北国では、この時期に初雪が降ることが多く、白銀の世界を心待ちにする季節として捉えられていました。雪が降り始めることは、寒さが厳しくなる兆しであるとともに、美しい冬景色の始まりでもあります。

雪待月という言葉には、冬の訪れを楽しみにしながら、寒さを受け入れる心構えも含まれています。寒い日が続く中で、初雪の美しさや、雪の降る静かな夜の風情を味わいながら過ごすことが、古くからの日本人の知恵だったのでしょう。現代でも、雪待月の心で、11月の冷え込みを楽しみ、季節の趣を感じてみてはいかがでしょうか。

雪見月(ゆきみづき)— 雪景色を楽しむ月

「雪見月」は、降り始めた雪を見て楽しむ月という意味で、11月の異名の一つです。初雪の情景や、雪に覆われた風景を楽しむ風習は、古くから日本に根付いており、雪見月という異名もこうした背景から生まれました。

寒さが厳しくなるにつれて、白い雪が少しずつ積もり、外の景色が一変していく様子は、心を澄ませる美しさがあります。雪見月には、ただ寒さに耐えるだけでなく、自然が見せる美しい冬景色を楽しむ余裕が求められているのです。

雪見月という言葉を思い出しながら、冬の訪れを感謝し、雪景色を眺めながら温かい飲み物を楽しむことで、寒さが和らぎ、心豊かなひと時を過ごすことができるでしょう。

11月の異名に見る日本の四季と心の豊かさ

11月の異名には、季節の移り変わりに伴う自然の情景や、そこに込められた日本人の心情が色濃く表れています。「一陽来復」「辜月」「暢月」「子月」「風寒」「雪待月」「雪見月」など、どれもが11月特有の風情を映し出し、私たちの心を季節と共に穏やかに導いてくれるものばかりです。

現代に生きる私たちにとっても、11月は年の瀬を前に一息つき、心を整える大切な時期。ぜひ、これらの異名を通じて、日本の四季の豊かさを感じながら、11月を楽しんでみてください。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

今日も素敵な一日を過ごされますように願っております。またお会いできることを楽しみにしております。

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